配信者が「高インタラクション(HI)」か「低インタラクション(LI)」を選び、リスナーが「発言(Speak)」か「視聴のみ(Silent)」を選択する二者戦略ゲームとしてモデル化します。
1. プレイヤーと戦略
- 配信者
- HI:チャット応答やコメント拾いなど、視聴者とのやりとりを重視
- LI:チャットをほとんど無視し、コンテンツ重視で進行
- リスナー
- Speak:積極的にコメントや質問を投稿
- Silent:見るだけで特に発言しない
2. 利得関数
パラメータ
- α:配信者が1件のコメントに応答して得られる便益
- β:応答に要するコスト
- γ:リスナーが応答を得たときの満足度
- δ:発言による手間やリスク
利得行列(配信者,リスナー)の順で表記
Speak | Silent | |
---|---|---|
HI | (α − β , γ − δ) | (−β , γ) |
LI | (0 , −δ) | (0 , 0) |
3. 静的ゲームのナッシュ均衡
- リスナーの最適応答
- HI の下では Speak が得か Silent が得かは γ ? δ
- LI の下では Speak→利得 −δ, Silent→0 なので必ず Silent
- 配信者の最適応答
- リスナーが Speak すると予測される場合:HI→α−β, LI→0 より α ? β
- リスナーが Silent ならば:HI→−β, LI→0 より常に LI
- 均衡のパターン
- α > β かつ γ > δ → (HI, Speak) が純戦略均衡
- それ以外 → (LI, Silent) が純戦略均衡
- 閾値間では混合戦略均衡も成立
4. 繰り返しゲームでの協調
繰り返し割引因子を δ_r とし、次のようなトリガー戦略を考えます。
- 初期は HI+Speak を前提にコミュニケーションを活発化
- いずれかが裏切り(LI に落とす/Silent し続ける)と次回以降ずっと LI+Silent に戻す
このとき
δr>β/α
を満たせば、配信者は継続的に HI を選び、リスナーは発言し続ける協調均衡を維持できます。
ゲーム構成
- リスナーの行動:
- 支援コメント(C+)
- 煽りコメント(C–)
- 無言(Ø)
- 配信者の対応:
- 反応する(R)
- 無視する(I)
ゲームの流れ
リスナーがコメントを出すと、その内容に応じて配信者が反応するか無視するかを選ぶ。
支援コメントには反応してファンを満足させ、煽りコメントには無視して荒らしを抑制する。
期待される結果
- ファンが支援コメントを続け、配信者も反応し続けると好循環が生まれる
- トローラーは反応を得るとリスク(ブロックなど)があるため、最終的に無言を選びやすくなる
このシンプルなやり取りモデルが、配信者とリスナー間のコミュニティ品質維持を支えます。
支援コメント vs 煽りコメントの具体例
以下に配信中によく見られるコメントをまとめました。
支援コメント例 | 煽りコメント例 |
---|---|
「○○のプレイすごいです!参考になります」;「いつも元気もらってます!」;「次のチャプター楽しみにしてる」 | 「何これ?時間の無駄だわ」;「声うっせぇ」;「さっさと終われよ」 |
支援コメントは配信者のモチベーションを高め、他のリスナーにもポジティブな雰囲気を広げます。一方で煽りコメントはコミュニティの雰囲気を悪化させ、配信者・リスナー双方にストレスを与えます。
この違いを意識して、好循環を生むコミュニケーションを心がけましょう。
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